修羅の刻 15

修羅の刻(15) (講談社コミックス月刊マガジン)

修羅の刻(15) (講談社コミックス月刊マガジン)

無類力士 雷電為右衛門*1編。

あらすじ

相撲で雷電に勝った陸奥左近。

もう一度やってもいい‥‥ただし 足らんものをうめたら‥な

そう言って再戦の約束をする左近。


それから10年。
師匠の喪が明け雷電は奥州へ。
出羽で成長した左近の娘、葉月と再会。

陸奥とやるのにわしに足らぬもの それは師匠が返してくれた

全力の「陸奥」との闘いを望み、葉月と戦う雷電
しかし「陸奥」はこの世にいなかった。
陸奥左近は亡くなっていた。

弱い者は陸奥を名乗れない

弱いために「陸奥」を名乗れなかった葉月。
互いに望みが叶わないことに涙する。

あたしがお前のその望み 叶えてやろう
二十年待て‥‥



二十年の時が流れ、江戸四ツ谷
雷電の屋敷に親子が訪ねてきた。

今でも雷電か?

葉月が息子、兵衛を連れて約束を果たしにきた。

兵衛はあたしより迅く 左近より強い
この世で一番を名乗るのに不足など寸毫もない

兵衛によって雷電は逝った。倒れることなく、この世を去った。

雷電の‥‥馬鹿め
笑いながら逝きよって‥

全力の「陸奥」と戦って、雷電は望みを叶えた。
そして…、

これはお前の仕合じゃない
この仕合は雷電と‥‥ あたしの仕合だ

葉月も望みを叶えた。

兵衛の父親は雷電か?

作者(川原正敏)は

『あなたにとってより好きな方が正解です』

と、あとがきに書いています。


わたしは、「雷電ではない」という方に一票。
修羅の門』の再開を信じている身としては、肉親殺しの業は(陸奥)九十九ひとりに背負わせてもらいたい。
肉親同士で戦うことはあっても*2、殺しているのは兄殺しの九十九ひとりだけ。
いまだ描かれていない『修羅の門』第5部で戦うはずのケンシン・マエダは九十九の父親のはず。
父親殺しは、その時に描かれるべきだと思う。


余談。
九十九は「陸奥」じゃない?
継承者の証=刀を祖父(陸奥真玄)から受け取ってない。
たぶん、自分より優れた兄(冬弥)が継ぐべきだったといまだに考えているためではないか。
そして、兄なら出来たと信じている「地上最強」を実現しなければ「陸奥」を継承するつもりが無いのでは。
また、九十九本人が言っている通り、最後の継承者に自分自身がなることを決めているため継承者の証を持つ必要が無い*3ためではないか。
九十九が「陸奥圓明流 継承者」を名乗るのは兄の代わりという意味があるのではないだろうか。

*1:雷電爲右エ門 - Wikipedia

*2:

*3:後継者がいなければ証(刀)を渡す必要が無いため