- 作者: 谷川流,G・むにょ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/04
- メディア: 文庫
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「ライトノベル」「電撃文庫」という言葉をを引き合いにして批判的な人が多いようですが、
これが「岩波文庫」(ありえません(笑))だったら、どう評価するんでしょう。
「さすが、岩波文庫!」とでも賞賛するんでしょうか?
すべては舞台装置だ。というのが結論でしょうか。
出演者=舞台装置に意味なんか無いんだよ。
それぞれがそれぞれに与えられた役割を果たす。ただそれだけのために存在する。
我々読者は観客として客席から舞台上を見ていればいいんだよ。
その舞台を面白い面白くないを判断するのは観客だが、舞台装置に向かって「おまえ、なに言っているのかわからないよ」と言うのは、
舞台にあるラジカセに向かって非難しているのと変わらない。
だってラジカセはそこに設置されただけだもの。責任があるわけがない。
じゃあ、誰を非難すればいいのか。
脚本家でもなく、演出家でもなく、大道具でもなく、...*1でもなく、観客なのではないかと思います。
だって、意味が無いものに意味を見出そうとしているのは観客だもの。
自分の価値観によって生まれる違和感。
それに向かって非難をしているだけ、ただそれだけのことなのだと思うのですが、違いますかね?
多くの人が指摘している、「萌え」に対するアンチテーゼに関してはわたしも喜んで読みました。
前半の面白さは、そのいわゆる「萌えキャラ」に対する否定(?)に対してのものだったのでしょう。
長い金髪、浴衣姿の美女=天使 全身黒ずくめで、細かいコーディネートの服装=悪魔 推定十歳未満で眠たげな瞳=死神 半透明で存在感の薄い=幽霊
容姿は「萌え」の約束事で固められているのに、行動および言動はその約束事を無視している。
この約束破りに対して大喝采を浴びせ、面白いとしたのでしょう。
しかし、わたしは尻窄まりといわれた後半『三日目』こそが一番面白かったです。
ミステリーの謎解き部分ですね。
ここで出演者=舞台装置はすべてを明かしてくれます。
出演者で唯一の自覚のない舞台装置、飛び入りで舞台に上がってしまった観客のひとり、健御*2は、ただその場で叫びます。
狂ってんのはお前たちだ! ああ、おかしいとも!
そう、我々=観客の代表だから。
『三日目』ですべて説明してくれているんですよ、この作品は。
自分で無意味だと言いつつ、気になることがひとつ。
この舞台は烏衣神忌無*3と烏衣巳輪*4のどちらの舞台だったのだろう?
それとも二人の合作だったのか?